裕美「すてきな笑顔」
事務所
裕美「…!」ニ"コ"ッ"
裕美「…だめ、今度こそ」
裕美「っ…!」ス"マ"イ"ル"
裕美「…むずかしいな」
ガチャ
法子「たっだいまーっ!」
裕美「あ…法子ちゃん、おかえりなさい」
裕美「収録、どうだった?」
法子「バッチリだよーっ!すっごく楽しくて、いっぱい笑っちゃった♪」
法子「ところで、鏡の前で何してたの?」
裕美「…実は…」
法子「…なるほど、今度の新人アイドルコンテストに出場することになって」
法子「そのために笑顔の練習をしてたんだねっ」
裕美「そういうこと…でも、一人じゃなかなかうまくいかなくて」
裕美「…もしよかったら、ちょっと見てくれる?法子ちゃん」
法子「もちろんいいよーっ!」ドーナツオッケー
裕美「ありがとう…じゃあ、いくね」
裕美「…っ!」クワッ
法子「怖いっ!怖いよ裕美ちゃんっ!」
裕美「あ、ごめんね…」シュン
法子「すごいねっ、鬼の形相だったよっ!」
裕美「そ、そんなはっきり言わないで…」
裕美「…でも、ダメだよね、これじゃ」
裕美「変、だよね…こんな、笑顔もできないアイドルなんて」
裕美「やっぱり、私にアイドルなんて向いてないんだ…」ドヨーン
法子「そんなことないよっ、裕美ちゃんは立派なアイドルだよっ!」
法子「ただ笑うのがヘタクソなだけだよっ!」
裕美「うぐっ」グサッ
裕美「…」ズーン
法子「…そうだっ、たしかアプリに…」スマホポチポチ
法子「…あった!顔を加工するアプリ!」
裕美「…なに?それ」
法子「えへへー、はいチーズっ♪」パシャ
裕美「えっ!?そんな急に…」
法子「おおっ、バッチリ撮れたよーっ!」
法子「あとはこれをこうして…」イジクリ
法子「…あはははっ、できたよ!いい感じっ!」
裕美「…?どんなの…って」
裕美「…笑顔…?」
法子「すごいでしょーっ!ゆかゆかの二人ともこれで遊んだりするんだーっ♪」
裕美「…あははっ、たしかにすごい笑顔だね」
法子「あっ!今裕美ちゃんすっごく綺麗に笑ってたよっ!」
裕美「え?…あ、これは…」
裕美「その、この写真が面白くて…つい」
法子「うんうん、ほんとにおもしろい笑が…おっ?」ヒラメキドーナツ
法子「…そうだっ!コンテストの時にもこの写真を思い出して笑えばいいんだよ!そしたら上手くいくよっ!」
裕美「え?…でも、そんなので大丈夫かな」
法子「大丈夫だよーっ!なんならこの写真の真似してニコーって笑ってもいいと思うよっ!」
裕美「…あは、これ…?」
法子「要するに、裕美ちゃんの楽しいって気持ちがお客さんに伝わればいいんでしょ?」
法子「だったら、中途半端に笑うよりかは思いっきりニコーってしたほうがいいよっ」
裕美「な、なるほど…プロだね」
法子「えっへん♪それほどでもっ♪」
法子「じゃっ、一緒に練習しよっか!」
裕美「え、えっ?」
法子「はいっ、笑顔ーっ♪」ニコーッ
裕美「え、えがおぉー…?」グワシャア
法子「あぁん、ダメダメっ!笑顔だよっ、笑顔っ!ほらっ」ニコーッ
裕美「え、笑顔ぉーっ!」ヌチャア
本番
司会「…さっ、次は関裕美ちゃんの番だっ!みんなを笑顔にするようなアピール、期待しているよっ!」
裕美「は、はいっ!」
裕美(大丈夫…いっぱい練習したから、きっと上手く笑えるはず)
裕美(笑顔、そう、あの顔を思い出して…!)
司会「それじゃあ、お願いしまーすっ!」
モバP「お疲れ様、裕美」
裕美「あ…プロデューサーさん」
モバP「よく頑張ったな。お客さんもみんな笑顔だったぞ」
モバP「で、コンテストの結果なんだが…」
裕美「…ゴクリ」
モバP「おめでとう、優勝だ」
裕美「…っ!やった!」
モバP「ああ、よくやった。ラジオとかテレビとかの出演の話も既に持ち上がってる」
モバP「ひとえに、今回の結果の影響だ」
裕美「…すごい…」
モバP「はは、これから忙しくなるぞ」
法子「やっほーっ、裕美ちゃんっ!お疲れさまっ!」
裕美「あっ、法子ちゃん…来てくれたんだ」
法子「もっちろん!バッチリ見させてもらったよっ!」
裕美「…なんか、恥ずかしいな」
裕美「でも、嬉しい…ありがとう」
法子「いいのいいのっ、いやーいい笑顔だったねーっ♪」
法子「教えた通り、ニコーってできてたよーっ!」
裕美「えへへ…うん、頑張ったよ」
裕美「…アドバイス、もらったから、ねっ」ニコッ
法子「…うんっ、すてきな笑顔っ♪」
おわり
作中の裕美ちゃんの写真はこんなのをイメージしてもらうといいゾ